犬アトピー性皮膚炎とは・・・・

遺伝的素因(アトピー素因:体質)をもっている

炎症や痒みのあるアレルギー性疾患

炎症や痒みに波がある(増悪・緩解を繰り返す)

多くは環境抗原(花粉、ハウスダスト)に対して過剰に体が反応する

皮膚バリアー(肌)の異常

 


痒みを起こす皮膚炎は色々あるので、犬アトピー性皮膚炎を診断するためには除外しないといけない皮膚疾患があります。

1、ノミアレルギー性皮膚炎

2、疥癬(かいせん:皮膚の中に寄生するダニ)

3、毛包虫症(別名;ニキビダニ、アカラス・・・皮膚の中に寄生するダニ)

4、マラセチア性皮膚炎

5、膿皮症(細菌によって起こる感染症)

6、食物アレルギー

 


犬アトピー性皮膚炎(CAD)の診断基準(Favrotの診断基準)

1、発症年齢が3歳以下

2、飼育環境の多くが室内

3、グルココルチコイド(ステロイド)に反応する痒み

4、慢性・再発性のマラセチア感染症

5、前肢に皮膚症状あり

6、耳介に皮膚症状あり

7、耳介辺縁には皮膚症状なし

8、背中側に皮膚症状なし

 

@8項目中5項目を満たせば、CADの診断率は感度85%、特異度80%

8項目中6項目を満たせば、CADの診断率は感度58%、特異度85%

 

感度85%とは、「犬アトピー性皮膚炎でない」と診断した中の15%は実は「犬アトピー性皮膚炎である」ということを意味します。

 

特異度80%とは、「犬アトピー性皮膚炎である」と診断した中の20%は本当は「犬アトピー性皮膚炎ではない」ということを意味します。

 

ちょっとややこしですね!

 


犬アトピー性皮膚炎:発症しやすい部位

足の先 耳 顔 わきの下 お腹 足の付け根

 

犬アトピー性皮膚炎:好発犬種

柴犬 ウェスティー シーズー フレンチブルドック ビーグル

ゴールデンリトリバー ラブラドールレトリバー など


以上のことを総合して診断していきます!


血液検査もあります!!

 

あくまで、犬アトピー性皮膚炎の診断を補完するための検査(必須ではない)

 

アレルゲン特異的IgE検査:どんなアレルゲン(例:ハウスダストなど)に対してアレルギーを持っているかを調べる検査です。

 

アレルギー強度検査:今現在、体の中でアレルギー反応が活発になっているかどうかを調べます。また、今の痒みがアレルギーが原因なのかもわかります。


★犬アトピー性皮膚炎の診断には数か月かかることもあります!!


皮膚の問題!!!

犬アトピー性皮膚炎の肌は、健常犬の肌とくらべセラミドの数が少なくなっています。

犬アトピー性皮膚炎の肌は、健常犬の肌とくらべ天然保湿因子の数が少なくなっています。

 

セラミドや天然保湿因子の数が少ないと肌の水分や脂質が保持できなくなり

外へ逃げていきます!!! 乾燥 乾燥 肌が干からびて薄くなる・・・

 

結果、肌のバリア機能が壊れていく・・・

 

皮膚のバリア機能が壊れると何が問題なの!!!

 

①アレルゲン(花粉、ハウスダストなど)が侵入しやすくなる

②病原菌が繁殖しやすくなる

③痒みが増す

④フケが増す(菌のエサ・ダニのエサになる)

⑤痒みの神経が伸びてくる

 

 


そのためには何が必要なのか!?

①痒みを止めるもしくは軽減する

 

②健常な皮膚に近づけてあげる


痒みを止めるもしくは軽減する治療

★痒みを止めるもしくは軽減する

(皮膚を掻くまたは舐めることにより痒みが増幅されます。まずはこの負の連鎖をストップすることが重要です!)

 

①飲み薬で痒みを抑える

 ・ステロイド ・アポキル シクロスポリン ・抗ヒスタミン薬

 ・オメガ脂肪酸製剤 ・乳酸菌製剤 ・

②外用薬で痒みを抑える

 ・ステロイドの軟膏/クリーム/液剤 

③痒みの原因物質をなんとかしたい!!!

 ・アレルゲンを体表面に付けない!・・・専用の服を着る

 ・身体に付いたアレルゲンを除去する・・・ドライワイプを利用する

 ・怪しそうな雑草はこまめに刈る

④アトピーを根本的になんとかしたい!!!

 ・ハウスダストマイト(チリダニ)に対するアレルギーなら、

  なんとかなるかも??? 「減感作療法」

⑤増悪因子をやっつける

 ・細菌感染

 ・マラセチア感染

⑥アレルギーは足し算される!!

 ・ノミアレルギー

 ・食物アレルギー(最初に除去食試験をしておくと良いね!)

 ・だから、ノミ予防は必ずしたほうがいいよね!

⑦月1回(約4週間)の注射でかゆみを抑える!

 ・サイトポイント

 

 

 

 


健常な皮膚に近づけるために!

①外用薬でバリアー機能を高めてあげる!!

・セラミド(保湿)

・オメガ脂肪酸(角質を整える)

・ビタミンE(角質を整える)

・ヘパリン類似物質(保湿)

・オーツ関連成分(保湿と止痒効果)

・アロエベラ(保湿と止痒効果)

・白色ワセリン(乾燥を防ぐ、刺激をブロック)

②食事やサプリメントでバリヤー機能を高める

・療法食(犬アトピー性皮膚炎用)

・ビタミンE

・オメガ脂肪酸

・療法食(食物アレルギーがある場合)

③皮膚を傷めない(肌をいたわる)

・肌に合ったシャンプーを使用する

・症状に応じたシャンプーを使用する

シャンプーのやり方を学ぶ(間違ったやり方だと逆効果になることも)

・頻繁なシャンプーは肌を傷めてしまう可能性がある!

④その他

・ストレスを極力減らしてあげる(ストレスはアトピー性皮膚炎の増悪因子になります)

 ・散歩が少ないとストレスに感じるかも?

 ・遊んであげないとストレスに感じるかも?

 ・お留守番が長いとストレスに感じるかも?

 ・毛がもつれているとストレスになるかも?

 ・大きな音はストレスに感じるかも?

 ・その匂いわんちゃんにとってどうかな~?

・太りすぎは皮膚炎のリスクを増加させます。

・毛は短くした方が何かといいですよ!

(シャンプーがやりやすい、毛が絡みにくい、外用薬がつけやすいなど)

・沐浴を取り入れてみる